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勤怠打刻をスマートフォンに切り替える|紙から変わること・決めておくこと

乗り換え

紙のタイムカードをやめると決めたとき、次に決まるのは打刻の方法です。小規模事業者で現実的な選択肢は、多くの場合「各自のスマートフォン」になります。

ただし、これは打刻機を置き換えるだけの話ではありません。打刻という行為の性質が変わります。 その変化を理解しないまま切り替えると、あとから運用で揉めます。

この記事は、切り替える前に決めておくことを整理したものです。やめる手順そのものは 紙のタイムカードをやめる手順 にまとめています。

何が変わるのか

紙のタイムカード 各自のスマートフォン
打刻できる場所 打刻機の前だけ どこからでも
打刻に使う端末 会社のもの 従業員の私物
集計 手作業 自動
打刻忘れの対応 その場で気づく 気づかないまま帰る

一番大きいのは1行目です。

紙のタイムカードには「その場所に来ないと打刻できない」という性質がありました。これは意図して作られた機能ではありませんが、結果として出勤したという事実そのものを裏づける仕組みとして働いていました。

各自のスマートフォンでの打刻に変えると、この性質は失われます。自宅からでも打刻できます。これは在宅勤務や直行直帰に対応できるという利点であると同時に、対面での勤務が前提の職場では失うものがある変更です。

決めておく3つのこと

1. どこからでも打刻できる状態を、どう扱うか

先に結論を書くと、小規模事業者ではこれが問題になることは多くありません。人数が少なく、出勤していないことは他の従業員がすぐ気づくためです。

問題になるのは次のような場合です。

こうした事情があるなら、各自のスマートフォンでの打刻は適していません。共用端末での打刻に対応した製品を選ぶか、位置情報による制限がある製品を検討してください。

2. 私物のスマートフォンを業務に使うことへの同意

各自の端末で打刻する以上、私物を業務に使ってもらうことになります。事前に伝えて、同意を得てください。

伝えるべき点は3つです。

3つ目を決めずに始めると、必ずそこで止まります。1人でも打刻できない人がいると、その人だけ紙で運用することになり、集計が二本立てになります。

3. スマートフォンを使わない従業員への対応

現実的な選択肢は3つです。

対応 向く場合 注意点
事務所のパソコンから打刻してもらう 出勤時に事務所を通る職場 パソコンが1台しかないと出勤時に列ができる
共用のタブレットを置く 全員が同じ場所に出勤する 対応していない製品がある。契約前の確認が必須
その人だけ紙のまま 1〜2名だけの例外 集計が二本立てになる。恒久的な運用にはしない

共用端末での打刻は、製品によって対応が分かれるところです。 打刻がログイン中の本人の分しか作れない設計だと、1台を全員で使おうとするたびにログアウトとログインが必要になります。「タブレットでも使えます」という説明が、共用端末での打刻専用モードを意味しているとは限らないため、具体的に確認してください。

打刻時刻は信用できるのか

スマートフォンでの打刻でよく聞かれるのが「端末の時計を変えれば、打刻時刻をごまかせるのではないか」という懸念です。

製品の作り方によります。 打刻時刻をサーバー側の時計で記録する製品なら、端末の時計を変えても記録される時刻は変わりません。端末から送られた時刻をそのまま保存する製品なら、変えられます。

労働時間の記録として使う以上、ここは確認しておくべき点です。確認方法は簡単で、無料期間中に端末の時計を数時間ずらして打刻してみると分かります。

位置情報で縛るという選択肢

打刻できる場所を制限したい場合、位置情報を使って「事業所の近くでのみ打刻可」とする製品があります。有効な手段ですが、副作用も理解しておいてください。

小規模事業者では、位置情報で縛るより共用端末を1台置くほうが単純で確実なことが多いです。

切り替えるときの進め方

一斉に切り替えるより、重ねる期間を作るほうが安全です。

  1. 締め日の翌日から新しい方法を始める(月の途中だと集計が二本立てになります)
  2. 最初の1か月は紙も併用する。打刻漏れの傾向が見えます
  3. 1か月ぶんの集計が新旧で一致することを確認してから、紙をやめる
  4. 紙のタイムカードは処分せず保管する(保存義務があります)

打刻漏れは、切り替え直後に必ず増えます。なくすのではなく、修正の手続きを決めておくほうが現実的です。

キンログの場合

参考として、当社が提供しているキンログの仕様を書きます。

打刻は各自のスマートフォンかパソコンのブラウザから行います。 アプリのインストールは不要で、ホーム画面に追加すれば1タップで打刻画面を開けます。

打刻時刻はサーバー側の時計で記録します。 端末の時計は使っていないため、端末側で時刻を変えても打刻された時刻は変わりません。

共用端末での打刻専用モードには対応していません。 打刻はログイン中の本人の分だけが作れる設計のため、1台を全員で共有すると打刻のたびにログインし直すことになります。全員が同じ場所に出勤し、共用端末1台で運用したい職場には向きません。ICカードや生体認証にも対応していません。

位置情報の取得・記録は行っていません。 打刻できる場所を制限する機能はありません。

料金は10名まで月額1,000円(税抜)、11名目以降は1人あたり100円の加算です。初期費用と最低利用人数はなく、14日間の無料期間はクレジットカードの登録なしで始められます。従業員の登録にメールアドレスは不要です(従業員にメールアドレスがなくても使えるか)。

よくある質問

従業員のスマートフォンにアプリを入れてもらう必要がありますか?

製品によります。ブラウザで動く製品ならインストールは不要です。アプリが必要な製品では、従業員の端末の空き容量やOSのバージョンが問題になることがあります。

打刻を忘れた場合はどうしますか?

多くの製品に修正申請の仕組みがあります。重要なのは、誰がいつ修正したかが記録に残ることです。管理者が黙って書き換えられる仕組みだと、記録としての信頼性が下がります。

通信量やバッテリーへの影響はありますか?

打刻の通信自体はごくわずかです。ただし「ゼロではない」ことは事前に伝えておいてください。後から指摘されると、説明していないこと自体が問題になります。

圏外や機内モードのときはどうなりますか?

ほとんどの製品で打刻できません。通信できない場所で働く従業員がいる場合は、その時間帯の打刻をどうするかを決めておく必要があります。

スマートフォンを持たない従業員が1人だけいます。どうすればよいですか?

事務所のパソコンから打刻してもらうのが最も単純です。それも難しい場合は、共用端末での打刻に対応した製品を選ぶことになります。その1人のために製品選定の条件が変わるため、人数が少なくても先に確認してください。


本記事は 2026年8月時点の情報をもとに一般的な整理を行ったものです。各製品の料金・機能は変更されることがあるため、実際の内容は各社の公式サイトでご確認ください。法令の解釈や個別の事情については、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。