アルバイト・パートの勤怠管理で押さえること|シフト制で崩れやすい5つの論点
「正社員はきちんと管理しているが、アルバイトは出勤簿に手書き」——小規模な事業者でよく見かける形です。
しかし労働時間の記録義務に雇用形態は関係ありません。勤務日数や時間が人によって異なる職場では、それぞれの予定と実績を確認できるようにしておくと管理しやすくなります。
1. 記録義務は正社員と同じ
労働基準法も労働安全衛生法も、適用の判定は「労働者かどうか」で行います。契約上の呼び名(アルバイト、パート、契約社員)は要件ではありません。
したがって、次はすべて同じように必要です。
- 始業・終業時刻の確認と記録(原則として客観的な記録による)
- 賃金台帳への労働日数・労働時間数の記載
- 時間外・休日・深夜労働の時間数の区分
- 記録の保存(5年間、当分の間は3年間)
「短時間だから」「週2日だから」は、記録しない理由になりません。詳しくは 「客観的な記録」とは何か を参照してください。
2. 有給休暇の付与条件と日数を確認する
アルバイト・パートも、6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すると有給休暇が付与されます。週30時間未満で週の所定労働日数が4日以下などの場合は、所定労働日数に応じた比例付与になります。厚生労働省・年次有給休暇の付与条件と日数
| 週の所定労働日数 | 6か月経過時の付与日数 |
|---|---|
| 週4日 | 7日 |
| 週3日 | 5日 |
| 週2日 | 3日 |
| 週1日 | 1日 |
※ 週5日以上、または週30時間以上であれば、雇用形態にかかわらず通常の労働者と同じ10日が付与されます。
そして勤続が長くなると付与日数は増えます。週4日勤務なら勤続3年6か月で10日に達し、その時点で年5日の取得義務の対象になります。
「うちはパートだから年5日の話は関係ない」という整理は、しばしば誤りです。詳しくは 年5日の有給休暇取得義務 にまとめています。
所定労働日数が決まっていない場合
週の所定労働日数が一定でない場合は、年間所定労働日数に基づく区分もあります。契約で所定日数が明確でない場合は、勤務実績等を踏まえた判断が必要になるため、社会保険労務士等に確認してください。
3. シフト制で崩れやすい点
予定と実績がずれる
シフト表は「予定」であって、労働時間の記録ではありません。シフト表をそのまま勤怠記録として使うと、遅刻・早退・残業が反映されないことになります。
必要なのは、シフト(予定)と打刻(実績)を別に持ち、ずれを把握できる状態です。
人の入れ替わりが多い
短期のアルバイトが入れ替わると、退職者の記録が散逸しがちです。退職後も保存義務は続きます。保存期間の起算日は記録の種類や賃金支払期日によって異なります。辞めた人の分こそ、まとめて残しておく必要があります。
複数拠点・ヘルプ勤務
別店舗へ応援に行く運用があると、拠点ごとに紙で管理している場合に記録が分かれます。労働時間は事業場を異にする場合でも通算されるため(労働基準法第38条)、合算して把握できる形が要ります。
「1日だけ長く働いた」が埋もれる
普段3時間の人が長く働いた場合でも、実際の労働時間を記録します。通常の労働時間制では原則1日8時間・週40時間を超えた分は時間外労働となり、割増賃金が必要です。所定時間を超えただけで法定時間内に収まる場合とは区別します。常時10人未満の特定業種の事業場には週44時間の特例があり、変形労働時間制等も判定方法が異なります。厚生労働省・法定労働時間と割増賃金
4. 18歳未満を雇う場合の制限
高校生アルバイトを雇う事業者は、追加の制限があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 深夜業 | 原則として午後10時〜午前5時の労働は禁止(満18歳未満) |
| 時間外・休日労働 | 原則として不可(変形労働時間制も原則適用外) |
| 年齢証明 | 年齢を証明する書類を事業場に備え付ける義務(労働基準法第57条) |
とくに深夜業の制限は、飲食・小売で問題になりやすい点です。午後10時までに退勤していることを記録で示せる状態にしておく必要があります。
なお満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童については、原則として使用できません(例外的に許可を要する場合があります)。
5. 労働条件の明示
勤怠管理そのものではありませんが、隣接する義務として触れておきます。
労働者を雇い入れる際には、労働条件の明示が必要です(労働基準法第15条)。就業場所・従事すべき業務・始業終業の時刻・所定労働時間を超える労働の有無・休憩・休日など、書面(または本人が希望した場合は電子メール等)での明示が求められる事項があります。
2024-04からは、就業場所・業務の変更の範囲の明示も追加されています。アルバイトも対象です。厚生労働省・労働条件明示のルール
記録と担当者を決めておく
出退勤・休憩の実績、有給の付与と取得、退職者の記録を、誰がどこで確認するか決めます。紙やExcelを使う場合も、システムを使う場合も同じです。
シフトは予定、打刻は実績として分け、変更があった日の確認方法を用意しましょう。打刻方法はスマートフォンと共用端末の使い分け、従業員登録はメールアドレスなしで使う場合を参照してください。
よくある質問
アルバイトにも有給休暇を与える必要がありますか?
あります。6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤する等の条件を満たせば付与されます。週30時間未満・週4日勤務なら初回7日、週5日以上または週30時間以上なら原則初回10日です。
週2日勤務のパートでも勤怠記録は必要ですか?
必要です。労働時間の記録義務は労働者であるかどうかで判断され、勤務日数や雇用形態による例外はありません。
シフト表を勤怠記録として使ってよいですか?
シフト表は予定であり、実際の労働時間の記録ではありません。遅刻・早退・残業が反映されないため、実績を別に記録する必要があります。
アルバイトに残業代は発生しますか?
発生します。通常の労働時間制では原則1日8時間・週40時間を超えた分に割増賃金が必要です。週44時間の特例や変形労働時間制等を適用する場合は判定方法を確認します。午後10時以降には原則として深夜割増も必要です。
高校生を午後10時以降も働かせることはできますか?
満18歳未満の者は、原則として午後10時から午前5時までの間の労働が禁止されています。年齢を証明する書類を事業場に備え付ける義務もあります。
年少者の制限は労働基準法第57条・第60条・第61条、記録の保存は厚生労働省・記録の保存期間と起算日を参照してください。
本記事は2026-09-14時点の公開情報とキンログの提供機能をもとに整理しています。個別の労務判断は、最新の公表資料や社会保険労務士等にご確認ください。